会長挨拶

平井 宏和

第50回日本神経科学大会
大会長 平井 宏和
群馬大学大学院医学系研究科

第50回日本神経科学大会ならびに第4回China–Japan–Korea Neuroscience Meetingを、2027年7月20日から23日まで幕張メッセにて開催できますことを、大変光栄に存じます。世界各国からご参加いただく皆様を心より歓迎申し上げます。

本大会は、日本神経科学学会にとって第50回という大きな節目の記念大会です。この記念すべき大会のテーマを、

「伝統と革新の融合 ― 神経科学の半世紀と新たな挑戦」

といたしました。

大会ホームページやポスターに描かれているタンポポの作品は、群馬県ゆかりの画家・詩人である星野富弘氏によるものです。星野氏は1970年、器械体操の事故により頸髄を損傷し、首から下の自由を失われました。その後、群馬大学医学部附属病院への入院中に、口に筆をくわえて絵と詩の創作を始められました。

星野氏は作品の中で、

「神様がたった一度だけでも腕を動かして下さるとしたら、母の肩をたたかせてもらおう」

と綴られています。

日本神経科学学会の発足から50年以上が経過しました。この半世紀の間に、単一細胞電気生理学、RNA干渉、iPS細胞、ゲノム編集、人工知能(AI)をはじめとする数多くの革新的技術が生まれ、脳と神経系の理解は飛躍的に進歩しました。一方で、脊髄損傷や神経変性疾患など、いまだ克服されていない神経疾患も少なくありません。

星野氏の作品と人生は、神経科学が取り組むべき課題と希望を私たちに改めて問いかけています。星野氏は2024年に逝去されました。しかし現在、神経科学と関連技術の進展によって、脊髄損傷をはじめとする難治性神経疾患に対する新たな治療法が現実のものとなりつつあります。私たちは、これまでの研究の積み重ねが、多くの患者の人生を大きく変える未来へと着実につながっていることを実感しています。

本大会には、第一線で活躍する研究者から未来を担う若手研究者まで、アジアをはじめ世界各国から多くの参加者が集います。伝統的な研究手法と革新的な技術が融合し、新たな発見や国際的な連携が生まれる場となることを期待しています。

また、タンポポの絵には、研究者の歩みにも通じるメッセージが込められているように感じます。先人たちが深く根を張り、花を咲かせ、次世代を育てる。そして若い研究者たちは、そこから新たな世界へと飛び立ち、それぞれの場所で再び根を張り、科学を発展させていく。そのような視点でも、ぜひ星野氏の作品をご覧いただければ幸いです。 本大会から生まれる新たな出会いと発想が、次の半世紀の神経科学を切り拓く原動力となり、後年振り返ったときに、本大会がその出発点であったと思えるような記念大会となることを願っております。

皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

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